2011年9月26日月曜日

当世古書事情①里親気分で

たとえどんなに安くてもバーゲンブックには手を出さないことにしている。
同じ本をつくる側の人間として、出版社(版元)のプライドを守りたいからだ。

バーゲンブックは、
版元が意図的に再販価格を非再販価格にした本のこと。
古書ではない本が、正価から安い価格設定で売られる本をさす。
なんらかの理由で、倉庫に眠る断裁処分になりそうな本の再出発を
価格変更で見出そうとする版元たちの涙ぐましい努力なのだ。

バーゲンブックではないが、大手中古書チェーンもよくみかける。
こちらは、古物商に属する。いったん購買された本を利用者から購入して
リサイクル販売するもの。
このテの書店が神田古書店街の「古本屋さん」と違うのは、商品の価値観だ。
商品の状態は新品に近ければ近いほど価値が高い。
前世紀に刊行された文豪の全集が、
1冊105円なんてとんでもないタグを付けられて店外の棚に並んでいたりする。

ちょっと、(お店の)オニイサン! これ初版なんですけど・・・(関係ないみたいだな)。
老舗出版元の新書シリーズも然り。えーっ! これはないだろう。
著者名ちゃんとみたのかな。みんな棚ざらしになってるなんてカワイソ。

ええい! もはや里親気分。ここは買うしかないでしょ。
「みんな、ウチへおいでっ!」とばかり、ばばっとカゴへ詰め込んで、
100円ショップ並の買い物になってしまった。

お得はお得だったのだが・・・。フクザツ。

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