2011年9月21日水曜日

タケミツに恋して?

図書館から借りた本の返却期限が迫っている。
『作曲家・武満徹との日々を語る』(武満浅香著/小学館、2006年)

1996年2月20日に死去した武満徹の妻・浅香さんに
小学館・武満徹全集編集長の大原哲夫氏がインタビューしたものだ。
対話型のテキストだからさらっと読めるかと踏んでいたら
これがなかなか深い内容で、欄外の註釈も読み応えがあった。

過去にその合唱作品を演奏した経験からだろうか。
 自分にとって、武満徹(タケミツ)は意外と身近に感じられる現代の作曲家だ。
生前、何度か都内の有名ホールや、現代音楽のコンサートなどで見かけた。

多くの現代音楽とよばれる作品には
何調なんだかよくわからない、雑音と演奏音の区別すら不明な
「主張だけが命」のような音とリズムがあふれている。
それらは、
モーツァルトやブラームスのような甘美な旋律をもたないし、
チャイコフスキーやショパンの哀愁も感じられない。

コンサートホールの空間には、「わけわからん」音があちこちに
ほうりだされ、観客はその音の所在をつかむ余裕もなく
とまどうばかり・・・、というのが現実だ。
しかし、
タケミツ氏はそうしたコンサートによく姿を現した。
招待席での「オシゴト」であったかもしれないが。

全自由席のコンサートでは、たいてい最後列ド真ん中に鎮座されていた。
「きょうあたりは来ているはず」と思って、あたりを見回すと
あの火星人のような風貌が静かな存在感を示していて、
ちょっと面白くてちょっとほっとしたものだ。

さて、この本。
ファンとして垂涎ものといえるのは、写真。
娘を抱く姿、菜園での作業風景、数々の大物音楽家や
アーティストたちとのショットなど、
おそらくメディアに掲載されなかったであろうプライベートシーンが、次々と現れる。
本人が生きていたら
「(載せるのは)やめてくれよ」と言いそうなカットもあるかも知れない。

貸出延長してみようかな。

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