2013年11月14日木曜日

wave♪に満たされて

立冬も過ぎた小春日和の11月9日。合唱団のコンサートを聴きに行く。
<横浜国立大学グリークラブOB合唱団第12回定期演奏会>
会場は、3.11の震災後、今年4月に復活を遂げたミューザ川崎シンフォニーホール。

ステージ構成は5部。卒業年度で分けた3団体のグリークラブによる演奏である。
内訳は、主催者でもある総勢約70名のプラチナシニアによるOB合唱団(第1・2・5 St)、
現役大学グリークラブ(第3)、平成卒業OB合唱団(第4)というもの。

プログラムは、現代作曲家の無伴奏を基本とした宗教小品集(第1)、
テキストのモティーフを百人一首に求めた組曲「帆は風に鳴り」(第2)、
古今東西からスケールの大きさを感じさせる叙情詩を集めた「天景」より(第3)、
男声合唱の定番コンビ作品「北斗の海」より(第4)、最後はポピュラー曲集で構成された。

それぞれ特徴のあるステージだったが、第2から4までは「海」が題材。
最終ステージでは、総勢140人弱、およそ3世代にわたるスケールの大きな「音」に
ホールが包まれ、先ごろ亡くなった三善晃編による「夕焼小焼」では、
140人のユニゾンとピアノの協奏が圧巻を極めた。
アンコールは定番の「月ピエ」(「月光とピエロ」)より「ピエロ」。

男声合唱の魅力を一言で表すなら「音の重層性」だ。
全体の音域が低いため、倍音の鳴り方が混声や女声と比較にならない。
少人数でも和音がはまれば、3倍以上の響きが生まれる。
同じホールで同じ曲を演奏しても、倍音という素敵な“おまけ”が聴こえてくるのだ。
今回のコンサートでもその期待は裏切られることはなかった。

それは、共通テーマが海ということもあり“音の波”にあらわれた。
例えば「帆は風に鳴り」では、繊細でロマンティック、ときにはリズミカルな波に、
「天景」は無伴奏らしく無駄な要素をすべて取り去ったストイックな波に、
「北斗の海」は詩人・草野心平がかいた白描の劇的な波に。

歌う側とすれば、かなりハードルの高い難曲も入っている。
指揮者が若い故か、第1ステージは昨今の合唱コンクールで流行りの曲もあり、
無伴奏部分の後からピアノが入る曲では、聴く側も緊張を強いられる。
とかくそうした曲は「労多くして功少なし」なのだが。
それでも、“従順に”“健気に”タクトについていくOBグリーたち。
第5ステージではフェローも加わって解放感たっぷりに歌心を披露してくれた。

男声合唱の魅力をもう一つ。
メロディの歌い方がロマンティックでエレガントであること。
これも音域が低いためだろうか。メロディに対してある種の飢餓感でもあるのか。
琴線に触れるフレーズが登場したパートは「待ってました!」とばかりに喜び、
女声も真似のできないほど艶のある歌を紡ぎ出す。
第5ステージで音の質量がぐわんとアップしたのは言わずもがなだ。

締めは客席も一緒になっての全体合唱「見上げてごらん夜の星を」。
キーがヘ音域すれすれだったので、とてつもなく高いソプラノで失礼したが、
作品の背景が時代・ロケーションともにマッチしすぎていて、
胸が熱くなったのは自分だけではないだろう。
いくつもの波に洗われ、包まれて、生まれ変わったホールも歓喜を共にしたにちがいない。







<参考>
「帆は風に鳴り」(詩:宗左近/曲:林光)
「天景」(詩:大岡信・萩原朔太郎 他/曲:橋本剛)
「北斗の海」(詩:草野心平/曲:多田武彦)
「月光とピエロ」(詩:堀口大學/曲:清水脩)
「見上げてごらん夜の星を」(詩:永六輔/曲:中村八大)

2013年11月10日日曜日

半年ぶりの・・・

酷暑・・・野分・・・白露・・・立冬もすぎたので
そろそろ小春日和が恋しい季節

☆Jul
  バジルの種まき

☆Aug
  バジルの収穫
  オカワカメの同居

☆Sep
  バジルとオカワカメの一部別居

☆Oct
  歌の会の発表会(ノルマ終了。当分、ヴェルディ様にはご縁なし)


  葉ダイコンの種まき 終了

~ing
XP⇒8 のお引っ越し

データの断捨離
メールの整理

ということでカレンダーの駆け足報告・・・オワリです。



2013年6月25日火曜日

話すように書け


たとえば
ヤンゴトナキ御方たちにお礼状を認めるとき

お礼ならまだしも
ゴメンナサイの手紙を書かなければならないとき

なかなか言い出せない
お願いごとをしなければならないとき

人生には、そんな場面がいくつもあるものだ。

そんなとき
わが祖父がよく宣っていたのが、「話すように書け」ということ。

つまり「相手に口頭で語りかけよ」ということなのだろう。
そのことばを、文字に写していけば
自分の正直な気持ちを伝えることができる・・・

ごくあたりまえのことなんだが。

悲しいかな
このシンプルな教えを、なぜかつい忘れてしまい
どんどん難しい方へ行ってしまう。

そう、
話すように書こう・・・

2013年5月3日金曜日

やる気スイッチ、入りました

なんだかんだで4月はゼロ投稿。

反省・・・は、していないけど、ちとさびしい。

昨日、GWの谷間に神保町へ行ってみた。

ここ10年あまりで、
B級グルメとコンビニと携帯電話屋の看板が目立つ街になった。

ちょっとかなしいぞ。
岩波ホールの支配人もいなくなっちゃったし。

でも・・・
   でも・・・
      でも・・・

街の体臭は変わっていない。

入りました!
ワタシのやる気スイッチが。

様変わりした書店の電子書籍を「立ち読み」したけど
「本の街」は
まだ、元気です。

2013年3月22日金曜日

お彼岸にA型到来

暖冬ならぬ寒冬だったおかげか、
花粉の到来も遅めで「楽勝!」と油断していたら

今月、ついに来ました。重たいやつが・・・。
黄砂、PM 2.5とともに。

そして、今週。
なぜかA 型インフルエンザウイルスまで一緒に連れてきた。

・・・と言う訳で、お彼岸は毎日病院通い。

喉の痛み、鼻水までは我慢できたが、さすがに発熱、悪寒と続いて
「こりゃ、ただごとではない」と思い
検査をお願いしたら・・・大当たり!

「A型のインフル、陽性ですね。お薬だしときますから安静に。
外出は控えて、人にも会わないようにしてください」

宣告をいただいたとたんに、熱は上がり始め、39.8まで達した。
でも、早めの予防接種のおかげか、強力な解熱剤のおかげか
12時間後には、見事に平熱までダウン。

花見もできず、たまった洗濯物を片付けている。

季節外れのインフルエンザ。
突貫のお仕事はすべてキャンセルして、
少しだけ余裕のできた原稿にぼちぼちとりかかろうか。

2013年2月12日火曜日

がんばれ地方の受験生

2月は中・高・大の受験シーズン。
首都圏まででかけてきて入試を受ける高校生も多い。

かく言う自分も、地方からのこのこと上京して受験した口であった。

おそらく、首都圏の大学を受けるのに首都圏の高校生は
わからないことがある。

それは、試験以外の雑用の多さだ。

1. 受験校を決める。
2. 入試要項を取り寄せる。
3. 応募書類を作成。
4. 受験料を振り込む。
5. 応募書類を大学に提出。
6. 試験会場近くの宿泊施設を予約。
7. 試験日程に合わせて交通チケットを予約。
8. 受験。
9. 発表。

となるのだが、1.と2.の間には学費負担者となる親を説得し、
スポンサーを確保しなければならない。

自分の場合、首都圏に親戚もなかったため
宿泊施設から交通チケットまですべて
自分で手配した。親はもちろんスポンサーであったが、
「費用は負担するが、手続きは自分で」との条件だったのだ。

今は無きブルートレインに母と友人、友人の母と乗り込み
受験旅行を敢行。宿泊は横浜のホテルだった。

試験当日はみごと大雪。

薄手のジャケットという軽装で震えながら
暖房もろくに効かない階段教室で
イギリス人の怖い試験監督の下、
頭を真っ白にしながら試験を受けた。

そして、試験が終わり、校門で私を待っていたのは
デパートの紙袋をいっぱい抱えた母だった。
曰く「これが(ここに来られる)最後かもしれないからね」
「おお、冗談じゃない。不吉なことを言わないでよ」
と思ったものだが。実際、これで最後かなとも思ったものだ。

しかし、予想は見事はずれて、その年の春、
なんとか大学生になれた。

それから早や数十年。毎年、この時期に地方からやってくる
受験生の群れに出くわすと、こっそり応援したくなる。
試験以前のストレスを抱えながら頑張っている彼らに。

2013年1月2日水曜日

謹賀新年2013

遅ればせながら
明けましておめでとうございます。
皆様にとって良い一年となり、
今年も元気ですごせますように。

毎年の年賀状。
7年前までは、P・クレーの素描がモチーフだった。

干支が子に戻ったのを機に
干支にちなんだ詩歌を題材にしている。

昨年は辰。
・・・で、ppmのパフをつたない翻訳で起した。
今年は巳。
うーん。蛇を題材にしたおめでたい詩なんてないぞ。

新実南吉作「おじいさんのランプ」から之助の台詞でも起そうか。
いやいや・・・と、考え考えた末に
苦し紛れに見つけたのが
飯田笏の一句。

年新た
嶺々山々に
神おはす

難しい干支だ。
ともあれよろしくお願いいたします。