今年もようやく「灯火親しむ候」となった。
この季節を代表する歌といえば、若山牧水の
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり」
がよく知られる。
文法的解釈では、「白玉の」が「歯」と「酒」の枕詞、
「べかりけり」は、推量の助動詞「べし」の連用形(べかり)に
過去の助動詞「けり」の付いたものであるから、
大意は
「玉のように透き通った白い歯にしみとおるほど、
秋の夜に飲む清酒は、ひとり静かに飲むべきであった(ある)」
と、なるのだろうか。
しかし、自分は小学生のころ、
「白玉」は「白玉団子(月見団子)」だと思い込み、長い間、
「白玉団子が歯にしみるくらいの冷気ただよう秋の夜は
お酒もひとりで静かに飲むのが良い」と、
勝手に我流の解釈を温めていた。
秋と白玉団子(月見団子)を直結させるなんて、
まったく子どもの発想であり、
そもそも、毎日一升の酒を食らったがために、
肝硬変で早々に鬼籍に入った牧水の代表作なのだから
酒と「白玉団子」が同じ歌に出てくるわけがないのだが。
団子が歯にしみるのは、虫歯か知覚過敏か。
相当、団子に執着があったと思われる。
0 件のコメント:
コメントを投稿