2011年10月7日金曜日

役に立たない学問

インタビューする側の礼儀として、いつも気をつけているのが、
学者・研究者に対しての「それ(研究分野)って何の役に立つのですか」という質問だ。

ノーベル賞受賞者が発表になる時期は、世界レベルで
「人類の福祉にもっとも具体的に貢献した」と評価される研究が注目を集める。
だが一般人にとっては、
物理・化学・医学生理学といった分野の研究は、
全くと言っていいほど普段の生活から縁遠いところに存在するもの。
専門用語だらけのニュースや記事に出合うと内容についていけず
「だからとどのつまり、なんの役に立つのだろう」と、生活との接点を探ろうとする。

かつて訪れた工業系研究室で、ついこの種の質問をしてしまい、
詳しい説明をいただいた最後に
「でも、われわれは成果を追求する工場ではありませんので」と念を押され、
失礼な質問をしたと反省した。

科学=サイエンスはまず理論ありきだ。
その理論は
「生産性がない⇒即、製品にならない⇒お金に結びつかない⇒役に立たない」
という俗人の欲からは遠い位置にある。
でも、俗人は手っ取り早く、身近な例で知りたがる。

では、その「知りたい」思いを抱えながら、なんと質問したらいいのだろうか。
そんなときは苦し紛れではあるが
「若いひとたちや子どもたちに伝えたいメッセージはありますか」と、
非常に漠然とした質問を投げてみる。
すると、ロマンチストよろしくの「名言」が返ってくるものだ。

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