2011年11月15日火曜日

11月の風物詩

早いもので、11月も第3週に突入した。
今週木曜日はボジョレヌーボーの解禁日。
酉の市とともに、いつの間にか11月の風物詩となってしまった。

この解禁日と勤労感謝の日のある週末に
かつて、「現代用語の基礎知識」「イミダス」「知恵蔵」
という現代語辞典が同日発売されていた。

電話帳や時刻表とほぼ同じサイズの辞典は、
現代社会で必要な用語を中心に、その年の流行や風俗を反映した
資料を加えたもので、年鑑の性質も兼ね備えた「ことば典」だ。

もともとは第二次世界大戦後まもない1948年、英語の流入と
民主主義に基づいた制度改革に対応するために刊行された歴史をもつ
「現代用語の基礎知識」(自由国民社)が、その先駆けだった。
以後、長い間競合なく刊行されていたが、昭和末期に
「イミダス」(講談社)、「知恵蔵」(朝日新聞社)が発刊された。

辞典の性質をこよなく追求した「現代用語」
サイエンス、外国語のセンスに富んでいた「イミダス」
執筆者の裁量が割と自由で論説的だった「知恵蔵」
それぞれ個性があり
価格も2000円前後とお手頃だったため、一時は毎年3冊購入していた。

いまでは2006年に「イミダス」と「知恵蔵」が休刊となり、
「ことば典」はデータベース、web対応が主流となっている。
どうも「知識」が「情報」に負けた感が否めない。

メガ、ギガの単位で管理される情報量も重要だが、
辞典1冊10数センチの厚みは、ブロック替りにスピーカーの土台になり
スカートのしわ伸ばしの重しになったり、
押し花のよき台紙になり、昼寝の枕に欠かせなかった。
そうした恩恵は、ディスクからは生まれない。

2011年11月1日火曜日

当世古書事情②古本まつり2011

神田神保町は、自称“住人”が故郷の次に長く居る町。
毎年秋には、10月末~11月上旬に
「神田古本まつり」と「神保町ブックフェスティバル」が開催される。
ほぼ同じエリアで開催される2つの「本」まつりだが、微妙にコンセプトが
異なる。

今年52回目の「神田古本まつり」は、神田神保町界隈の
古書店が靖国通り沿いを中心に設置した特設テントで出張販売する
古本大放出バーゲン。
各店の個性的な「お宝」ものがずらりと軒を連ねる。古書というより
古文書にちかい代物もあり、見て回る人々も年を重ねた御仁が多い。

一方、今年開催21回目となる「神保町フェスティバル」は、書店というより
出版社が自社製品を直接バーゲンするワゴンセール。
バーゲンブックというわけではないが「ワケあり」ものがあったりして、
新品を安く買いたい人向け。会場も靖国通りより1本南に入った
すずらん通りが中心だ。日程も「古本まつり」より短い2日間で、
こちらは近隣のレストラン等も参加するため、
カレー、中華、ビールなどのメニューも豊富。

不況や震災のあおりを受けて、今年も「街の本屋さん」は激減したし、
出版不況はますます深刻な事態。
ひところは、身動きがとれないほどぎゅうづめだった靖国通り沿いの
歩道は、出店テントが減ったのか、北風に吹きさらされ。

それでも、昭和の希少本をゲットした。
『音楽の現場』芥川也寸志 /音楽之友社 1962年刊
トスカニーニ、クナッパーツブッシュ(出版当時まだ存命中だった!)など
巨匠の雄姿が満載! 夜長の秋にぴったりだ。